はじめに
1月25日、全員協議会の場で、教育長から令和6年度の入学生募集を停止したいとの提案があったが、多くの議員から反対意見が表明された。その結果、募集停止は一旦断念することになった。
さらに、1年間をめどに、本校化について議論していくことになった。
ただし、「廃校にしない、存続する、本校化する」と決定したわけではない。
1月25日の時点では、入学募集を停止するという提案は多くの議員が好ましくないと発言したので、断念したということである。
さらに、その日の夕刻開催された本校化推進委員会では、全員協議会で議論した内容が報告され、入学停止計画を取りやめることが伝えられた。このような情勢を踏まえて、推進委員会を編成替えして、2月中旬から再出発することになった。
今回は、その辺りを詳しく報告する。
本稿では、原則として( )の文言は、私自身の考えや感想、注釈である。赤字は教育長ら行政側の発言内容、青字は議員たちの発言内容を示している。
1月25日午前の全員協議会の報告
全員協議会とは?
議員全員が集合して、市町村の重要な事案などについて、議員相互または自治体首長と議員とが協議するために開く会議のこと。市町村政の課題等について協議または調整を図るため、行政機関からの説明及び報告、並びに議員相互の協議を行う必要があることを、説明したり討論しあう場である。
参考人を召喚することもある。
議会定例会のように、上程された事案の議決する場ではない(全員協議会の開催に合わせて、臨時議会を催すこともある)。
山添村では、毎月開催される。さらに、議会の運営を円滑にするために、議会定例会の直前直後にも開催される。
定例会の議決を、予め全員協議会で確認しているのが現状である。
つまり定例会の前に、上程されている議題の賛否を全員協議会で確認し、賛否の意思を午後の定例会で変更しないことを原則としている。それは、おそらく、定例会の進行を円滑にするために、また、予想外のことが発生しないために、長年の間に作り上げられた伝統的な悪習である。これについては、今日の話題ではないため、いつか別項を設ける。
多くの市町村では、全員協議会は公開だが、山添村は基本的に非公開である。
全員協議会は非公開なので、このような形で公開することを、私は少し迷ったが、村民の関心が高いために知ってもらうことが重要と考えた。
分校の入学募集中止(即ち廃校)の提案
池住寿弘教育長は、1月25日午前の全員協議会で、ふたつのことを提案された。
①一旦、令和6年度から山添分校の生徒募集を中止したい。
②その代わり、新しい本校の高等学校について、ゆっくり1年をかけて議論しましょう。
と、議会に提案があった。
これを議員に了解してもらいたいというのである。
(令和6年度から入学を止めると、令和9年度を持って分校は廃校となってしまう。)
本校化するかしないかを議論せずに廃校ありきの①を提案する理由は、「分校は法律に照らすと矛盾した状態だから、基本的には存続できないもの。これを是正しなければならない」という理論であった。
昨年9月の議会定例会で、初めて「廃校」を言葉にした際は「経済的理由」を挙げたが、今回はお触れにならなかった。
(このブログでも、何度も「法律的に矛盾している」ことを説明してきた(【1】を読み直してほしい)ので、このことは村民の多くも理解できるはずだ。しかし、どれほど切羽詰まった問題なのかは、ピンとこない。緊急で是正しないと、罰金が科せられるとか、責任者が戒告処分や減給に処されるという話は、聞いたことがない。)
議員の反応、それに対する教育長の答弁
7名の議員(全10名)が発言した。
一人を除いて、提案をそのままでは容認できないという意見であった。
一時間以上を費やし議論された。
下の討論は、実際の討論を意訳しているうえに、すべての質問や討論を網羅していないことをご了承いただきたい。
青字:議員からの発言、
赤字:それに対する教育長の見解、
( )内は、私の注釈や解説。
◆どういう権限をもって入学を止めるのか? ⇒ 村立高等学校なので、村に権限がある。
(「議会の了解なしに教育委員会あるいは教育長単独では決定できない」と教育長も考えているから、議会に諮ったのであろう。しかし、分校の入学試験の受験資格を決め、毎年募集要項を発行しているのは、県教育委員会である。この辺りの関係っは私にもまだ理解できていない。)
◆いつまでに結論を出す必要があるのか? ⇒ 県教育委員会や文科省から必ずこの日までにと規定されたものはない。
昨年9月(教育長が議会で初めて廃校計画を公言した時)以前も以降も、村民への説明もなされていないのに、なぜそこまで急ぐのか? ⇒ 法律に矛盾した状態は早期に是正されなければならない。
⇦ これらのやり取りの中で、「それならば、今回の提案は、教育長の個人的な意欲で進められているように映る」という主旨の意見もあった。
◆法律的に矛盾していたから、2年前まで是正に向けて本校化を目指していたのである。その活動はどのように評価されているのか? どのように捉えているのか? ⇒ 明確なお返事はなかった。
◆一旦分校の新規入学を止めて新たな学校創りをしようとすると、学校の連続性が失われるうえに、本校化の敷居が高くなってしまうのではないか? やはり、まずは本校化すべきかどうかを議論したうえで廃校の時期を検討するのが、常識的な考えではないか? ⇒ 分校を本校化しようという考え方が基本的には誤っているので、ふたつは、別々に検討すべきものである。つまり、分校は廃校。そして、本校を新たに創る議論は別々に。
◆現在、分校への進学を考えている中学二年生の子供たちの進路を断つような計画は、説明も全くしないでいるわけだから、酷すぎる。 ⇒ 明確なお答えはなかった。
◆住民への説明が足りない。十分な説明や議論があって、それから議会に諮られるべきではないか。 ⇒ 「まず議会、それから、だんだん多くの人たちに、丁寧に説明していきたい」という主旨の返答であった。
全員協議会での結論
以上のようなやりとりの結果、賛否を多数決で採ることはなく、
①「令和6年度生の入学募集停止計画」については断念することになった。
②1年間かけて、「本校化」かするか否かを議論することになった。
そのうえ、「関係者や関係部門と相談する」ともおっしゃった(おそらくは、県教育委員会を指すのであろう)。
また、「今日の議論の結果、②については、議論することになるが、県から本校化の認可をとることは、正直言って難しいですよ」とおっしゃった。その根拠はお示しにならなかった。
(①を断念したうえで「②は難しいですよ」という発言は、自分の主張が通らず、本校化を求める多く議員に対して捨て台詞のようにさえ聞こえた。②が難しいと思っていたのなら、最初から無理な本校化議論と引き換えに①を提案していることになりはしないか。最初に①と②を分けて提案した時点で、②の実現がどれほど難しいのかを、教育長なりに説明してもらっていたら、丁寧だったのだが。)
(高校再編が進む中で、今から分校を本校化することが平易なことでないのは、誰もが理解していると思う。しかし、物事の進め方に、多くの人が着いていけない。だから、反対意見が噴出した。しかし、今回反対した議員すべてが、本校化を目指せと主張しているわけではないであろう。)
1月25日夕刻の本校化推進委員会の報告
同じ日の午後5時から、役場内にて、推進委員会が開催された(私はメンバーではないので、内容は伝え聞いたもの。まだ議事録などは出ていないので、内容は伝聞に基づくものであることを了解してほしい)。
もし午前中の全員協議会で、提案が承認されておれば、この日の夕刻の推進委員会にて、募集停止を委員に伝え、速やかにそれを進めていく予定だったはずである。
(だから、全員協議会と同じ日の夕刻に、委員を招集したのであろう)
しかし、議員の多くから反対された結果、それを断念した。
夕刻の推進委員会でも、その旨を報告された。
これにて、ともかく、令和6年度入学生募集を停止されることは、当面なくなったと判断できる。
さらに、推進委員会は、ここで一旦区切りをつけて、構成メンバーを改変して2月中旬に再スタートを切ることになったらしい。そのメンバーで1年をめどに、本校化の是非や本校化するならばその内容を、議論することになるらしい。公平な議論が行われるような人選をお願いしたい。
令和2年までは、本校化を推進したい前村長の意向を受けた指導主事(=現村長の野村栄作氏)が中心になって、本校化ありきの議論をすすめていたが、今後は、どのような議論が展開されるのであろうか? まことに不安である。
なお、私が求めていた推進委員会の公開は、反対意見もあって見送られたようである(その議論があったことは評価するが、残念である。和合結束、凡事徹底とともに情報公開をモットーとされている村長の英断に期待しているのであるが)。
今日はここまで
この春に受験する人(令和5年度入学生)ではなく、その次の春の受験者(令和6年度入学生)、つまり、現在中学2年生が分校への入学を断念せねばならないような愚挙は、いったん阻止されることになった。
そして、本校化か否かの議論に、ある程度の時間を設けることができるようになった。
ここまでは、まずは、良かった!
それにしても、行政側の行動が、「当たって砕けろ」「行き当たりばったり」的だ。
昨年の9月(定例会で廃校案を口にした時点)以来、すでに四か月も経過するのに、
村民や同窓会や議会に、廃校やむなし論に応じてもらうような働きが一切ないのは、どういうことだろう?
一切ないだけならまだしも、挙句の果てに、全員協議会で突然募集を停止したいと、突然の提案である・・・
だから、1月25日の時点で、教育長が提案しても、その時点で①が了解される可能性はかなり低いことは分かっていたはずだ(私でさえ、今回の結果はほぼ読めていた)。
断念を表明した時、「関係者と相談することになる」と教育長はおっしゃったが、事前に県の教育委員会と、この結果を予想した打ち合わせはなさっていなかったのか?
事前に相談するほど深刻ではないという判断なのか。
そのうえ、村長は今回ほとんど発言されなかった。
夕刻の推進委員会にも参加されなかったらしい(11月には参加されたと聞いている)。
教育長に任せた!ということなのだろうか。
全員協議会の場では、「一昨年の就任後注意を払っておれば、タイミングを逸しなかったはずなので申し訳ない」という主旨のことを表明されるにとどまった(これは、12月の一般質問に対する答弁と同じ)。それと、「当時は本校化が前提であり、それに沿って、前村長に言われるがまま本校化のための準備に精を出していたが、一旦自分が村長という立場になってみると、本校化の厳しい現実を知った」という旨のことを繰り返した(これも、一般質問に対する答弁と同じ)。
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今日も長いブログになってしまいました。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
私は、教育長だけでなく、分校の後援会長や同窓会長、村長か副村長、そして議員代表が、いっしょに、吉田県教育長と面会し、ゆっくりと話し合ってもらいたいと、切望する。
そのうえで、2月中旬から推進委員会を新たにスタートさせてもらいたいと願っている。
コメント
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(ブログ作者)