壁時計がお待ちしています。
A wall clock working probably since 120 years ago
Product by OWARI CLOCK COMPANY (Funded in Meiji 27th year of Meiji, 1894)
Probably this came here when we established 30the year of Meiji, 1897.
Circa 1894 to 1897
Height 140cm, Width 60cm, Diameter of dial 32cm
オールドクリニック(野村医院)黎明期から働き続ける壁時計
日本製 尾張時計製
高さ140㎝、幅60㎝、文字盤直径32㎝
オールドクリニックに一歩踏み入れると、そこは、天井の高い元・待合室。
その真正面の柱に、大きな壁時計が掛かっています。
初代千太郎が開院した明治30年(1897年)の創設時から、ここに掛かっていたと思います。
この「馬と地球」の商標は、 尾張時計製造合資会社(尾張時計)製であることを表しています。この会社は、明治27年(1894年)に設立され、壁時計を得意としていました。今でも、古い家を訪ねると尾張時計が玄関などに掛かっているのを見ることが出来ますので、たくさん作られたのでしょう。
モノづくりNippon、モノづくり愛知県の先駆けでした。
ちなみに、文字盤のUMAINという表示から、日本語は「馬印」で『うまいん』と発音していたことが分かります。
また、YOKAMAKIは「八日巻」のことで、【一回ゼンマイを巻いたら、八日間動く】という意味でしょう。
実は、昭和48年(1973年)にこの建物を閉鎖した昭和48年(1973年)から、この時計は野村家の住居に移されていましたが、オールドクリニックとして建物を整備し、平成28年(2016年)、40数年ぶりにこちらに戻ってきたのです。
この10年間に、数回、動かなくなって修理に出しています。
修繕でお世話になっているのは、お隣・伊賀市の澤田時計さん(街の人間国宝)です。
おかげで、今も、元気に柱時計は時を刻んでいます。
いつもありがとうございます。
文字盤の傷は、なに?
ところで、この大きな文字盤には、こんなかすり傷というか、文字盤の塗装(ペンキ?)を削り取ったような傷が無数にあります。
長い間、これがなぜ生じたのか分からなかったけれど、先日、ゼンマイを巻いて時刻を合わしていたら、その疑問が解決しました!
ご覧のように、傷は、3時から11時辺りがひどくて、12時から3時はほぼ無傷。【YOKAMAKI 八日巻】とは言っても、人間、ゼンマイが切れる前に、巻き足すことはあまりありません。振り子が停っているのを見て気づくというものです。そのたびに、巻き直しては時刻を合わさなくてはなりません。
何十年間も、それを繰り返してきたのです。
当時、こういうのは子供達の仕事、お家の手伝いのひとつでした。時刻を合わすには、長針を指先で回さねばならないが、背の低い子供がそれをすると、12時から3時辺りには届きにくい。ガラスのカバーが右に開くようになっているし、右利きならば、特にそうなります。
つまり、この傷み・塗装の剥げは、野村家の人々の、がさつ(乱暴?慌て者?)な爪が削ってしまった跡形だったと推測します。
私はその剥げた傷みにそっと指を置いてみました。明治30年開院から昭和47年閉院までの期間に、この時計に関わった人々と文字盤を通して交流できたような気がしたのです。