院長の椅子 Director’s chair
Director’s chair
Origin country unknown but probably Japan, as its design and no any maker mark was found.
Circa 1890s
Height 75cm, Width 60cm
The leather of chairs were repaired in 2016.
2014年(平成26年)、私達が古い診療所の補修を始めた時、館内に三つの椅子が遺されていました。
どの椅子も、古色を帯び、傷んではいましたが、立派なものでしたし風格のある味わいに惹かれて、捨てることは出来ませんでした。
そこで、この建物の修復と並行して、修理屋さんに2016年(平成28年)に直してもらいました。
河内長野のヤナギ・ウッド・ワークスさんです。
冒頭から、柳原さんに御礼申し上げます。
その一つが、この「院長の椅子」と呼んでいる椅子です。
その雰囲気からして、創設当時の明治30年代から、ここにあったものと考えられます。
高さ、約75㎝、 幅、約60㎝
会社の名前や作者の名前もなにも刻まれておりません。
好んで腰かけている初代院長・千太郎(曽祖父)の姿が目に浮かんできませんか?
祖父や父母とこの施設で10年以上一緒に時を過ごした私ですが、彼らがこれに腰かけている姿を、残念ながら思い出すことが出来ません。
その他の椅子
昭和5年に修繕した椅子
もうひとつの椅子は、古いお家なら、どこにもあるようなものですが、裏に『昭和五年十月八日修繕 上野市?大(犬?)〇?店二,九〇』と墨書されています。
隣町の上野(現在の伊賀市)で修繕、2円90銭(修理代)ということでしょう。
昭和5年に修繕したということは、おそらく、創設期・明治30年代からここにあるものと推察されます。
そろそろ布張りを交換しても良いかもしれませんが、
”昭和5年に修繕した”証を失いたくなくて、もうしばらくこのまま使うことにしました。
待合室の長椅子
今でも、叔父や80歳を越えた古い患者さんが、「待合室の土間に長椅子があった」ことを懐かしく話してくださることがあります。おそらく、この椅子がそれだと思います。
やはり革張りやクッションが弱って、また脚が腐食していたので、院長の椅子と同様に、ヤナギ・ウッド・ワークスさんで修繕してもらいました。
現在は、待合室ではなくて、診察室に置いています。
おそらく、これも開業以来、ずっとここで働いていた椅子です。
いままで、どれくらいたくさんの人が、この長椅子に腰かけたことでしょう、、。
現在は、オールドクリニックでのコンサートや、ちょっとしたミーティングなどで、重宝する長椅子として活躍中です。