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絆リレー祭2023
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明治時代の調剤天秤  オールドクリニックの収蔵品㉙

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村上衡器製作所?の精密度表天秤

野村医院オールドクリニックに遺されている三大機械のひとつ、明治時代の吊り下げ型の精密調剤天秤です。
日本製です。高さ約30㎝、幅約26㎝。
当時は、錠剤やカプセルなどの便利な薬剤は、ありません。
多くは、粉末や水薬でしたから、医師は患者さんに合わせて調合する必要がありました。ですので、当時の診療所では、天秤は必須の道具でした。

このレベルの天秤が国内で生産されるようになるのは、明治10年代半ばから。
多くは、会社名が刻印ないしは、プレートが付いているのですが、残念ながら、当館の天秤は、会社名が確認できません。
しかし、刻印などから、株)村上衡器製作所で作られたものと推察しております。

A precision balance made in the middle of Meiji era.
Made in Japan.  Height 30cm, Width 26cm
At that time, physicians had to formulate powdered medicines according to their each patients, so such a balance used to be an essential equipment in the clinic.

ゆらり~ゆらり~~天秤は楽しい!

気忙しい21世紀の私達は、ゆらりゆらり、天秤が揺れながら物の重さを計る楽しさを忘れてしまっています。
今でも、オールドクリニックに遺るこの天秤は、正確にものを測定することが出来ます。
右と左にゆっくり揺れる姿は、実に優雅です。
デジタルは、私達から何か大切なものを奪ってしまったような気がします。

調剤天秤の構造と性能

化学天秤ともいわれるこのタイプは、風や扱う人間の呼吸の影響を遮断するために、ガラス張りになっています。
本器では、前の扉が上にスライドして開けるようになっています。

天秤の命は、いかに水平を保つことですから、内部にこのような金属(おそらく、真鍮)の球体がぶら下がっています。

竿を載せる中央の支柱に、秤量五拾瓦(50g)、感量拾瓱(10㎎)とあります。
つまり、最大50gまでの重量を測定することができて、その精度は10㎎(1gの1/100)という表示です。
その下や、竿に刻印されている「三八三二〇」は、おそらく、製造番号であろうと推測しています。
制作した会社に記録が残っておれば、販売日や価格が判明するかもしれません。

「大阪◎」の刻印も認められます。
これが、おそらく村上衡機製作所であろうと推測する根拠の一つです。
このような測定器を作る会社は、医薬品業界とともに、大阪に発した会社が多かったのでしょう。
この会社のHPによると、明治39年(1906年)創業とありますから、私達の天秤もそれ以降に購入されたことになります。

天秤皿は、鼈甲製です。
ここにも、同じように「三八三二〇」の印があります。

分銅は、決して素手で触ってはいけません!
分銅がいかに正確に作られているかは、天秤のもう一つの生命線です。
そのために、こんな分銅でも酸化防止して重量が変化しないように表面加工が施されているのです。

情報をお待ちしております。

これが、左竿に刻印されているマークです。
おそらく製造した会社の印か、あるいは、「昔の計量検定所の証印」だと考えられます。
もし、ここまで提示した、いくつかの刻印や制作会社について情報をお持ちの方がありましたら、教えて下さい。
情報をお待ちしております。

*****
今日の話はここまでです。
野村医院・オールドクリニックの古い話や道具・薬品に興味を持って
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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もうひとつの天秤記事はこちら。これにも、同じ刻印が施されています。

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この記事を書いた人

野村 信介のアバター 野村 信介 山添村 野村医院長

60歳を過ぎて、山添村で野村医院を継承した開業医です。長年、三重県で勤務医をして過ごしましたが、年齢とともに、郷愁の念断ちがたくなり戻ってきました。
令和3年秋からは、村会議員にも選んでいただきました。野村医院での診療の傍ら、村興しにも精を出し、また、地域の問題に少しでも取り組んでいけるよう努めております。。
若い頃にはなかなか気づかなかった山添村の素晴らしさを、このサイトで皆さんに発信していきたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。

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