映画「雪の花」の撮影に協力しました
One day in 2023, at the behest of a film director, a props technician came to visit me and asked to borrow the vaccination equipment that I had made public on my website. They were planning to make a film about the life of Dr Ryosaku Kasahara who first popularized smallpox vaccination in Japan to prevent smallpox in the late Edo period.
I cooperated with Director Takashi Koizumi without any hesitation. He was a beloved disciple of the late Director Akira Kurosawa. Even today, he shoots using old-fashioned techniques that do not use CGI. The film crew faithfully reproduced our lancet for use in the film.
A year and a half has passed since then, the film has been finally due to premiere in Jan 2025. I was invited to a preview screening in Nov 2024 and met Director T. Koizumi. He and the screenwriter sincerely thanked me. Unfortunately, I did not get to meet the leading actors and actresses.
The vaccination tool my ancestors used, lancet (shown above), only appeared for a moment in the film. In the late Edo period, Dr R Kasahara made many improvements to the lancet in order to improve the success rate and not waste the precious vaccine materials. During the next Meiji period, my great-grandfather probably used the same tools as in the Edo period. So the ancestral tools that I have treasured in our Old Clinic Museum could play an role though very briefly in the movie.
I felt very happy when the name of Nomura Clinic appeared in the credits.
The name of this movie is “YUKI no HANA”. A literal translation would be “snow flowers,” but I think it probably means that people are rewarded for their efforts after a harsh winter. The original author is the late Akira Yoshimura (1927~2006), a famous novelist.
Everyone, haven’t we just suffered through the COVID-19 pandemic? Today, this film is asking us to live our lives with care and sincerity. I would like you to read this novels and go to the cinema theater.
2023年のある日、映画の小道具を担当している人から、突然連絡があり、私がこのホームページで公開している種痘の道具を貸してくれないかというお申し出があった。
江戸時代に種痘を広めることに尽力した医者を主人公にした映画を撮影するにあたり、本物の種痘の乱切刀を手に取って、忠実に小道具を再現して撮影したいというのである。映画監督さんは、ずいぶんこだわりを持っていらっしゃるらしい。
芸能界や映画のことには、まるで馴染みのない私ではあったが、我が家を訪ねて下さった担当者から色々な話を伺った。当初は迷ったものの、お話しを聞くうちに、ぜひ映画製作に少しでも役立つのであればと思うようになり、貸し出しを決意した。
映画の名前は、「雪の花 ーともに在りて-」。
江戸時代の後半、猛威を振るう天然痘から人々を救うために、種痘を広めることに命を懸けた越前藩の町医者・笠原良策の映画である。
松阪桃李、芳根京子、役所広司らそうそうたる顔ぶれだ。
それから一年余。2025年1月24日、この映画がいよいよ松竹から公開されることになった。
以下は、試写会に招待されて、皆さまよりも先に映画を見てきた私の感想である。
試写会に参加して
なぜ、松坂桃李は、この映画の主演を、あそこまで寡黙に演じたのだろうか?
これが、試写会直後の感想だ。
ご存知、2025年(令和7年)1月24日封切『雪の花』。江戸時代末期に天然痘予防に命をかけて、種痘を広めた越前藩の町医者・笠原良策の生涯を綴った、吉村昭の、同名の小説「雪の花」を映画化したものである。
故黒澤明の愛弟子にしてリアリズムの第一人者・小泉堯史監督と共に、人々の健康に寄与することに力を尽くした笠原の人格を、桃李はこのように解釈して演じたに違いない。監督はけっしてCGを使わない人だという。
江戸時代、医者も民衆も、現代とは比べようがないくらい、病と死が身近にあった。笠原良策も、多くの悲劇を目の当たりにして慟哭したことであろう。たとえ、身の回りに嬉しいことがあっても、もくもくと医療に身を捧げていたのであろう。そんな主人公を、私がそんな感想を持つように、桃李は演じたのである。
どれほどニヒルなのか、映画を観て確認してほしい。
試写会の画像を観ながら、私は、桃李よ、そこでもっと笑え~泣け~と心中で叫んでいた。
当代きってのイケメン男優とはいえ、このままでは興行的には厳しいのではないかと、映画会社の関係者でない私は、身勝手に心配したのである。
望みは、全国の松坂桃李ファンと、我が友人知人の応援である。どうか皆様、封切までひと月を切った映画『雪の花』、一月中には是非観に行ってやって下さい。
コロナ禍に苦しみ、インフルエンザが猛威を振るう今日、改めて、「この時代に丁寧に大事に生きることの大切さ」をこの映画は私達に問うているのだと思った。
★私の祖先が使っていた種痘の道具をもとに忠実に再現された乱切刀が登場します。桃李演じる笠原良策が、種痘の成功率を高めるために工夫している場面です。一瞬しか現れません お見逃しなく。
映画製作に貸与した道具は、下記のブログで紹介しています。
医史学に関連した映画に、オールドクリニックに保管している道具が役立つなんで、なんと素晴らしいことなんだろう!
祖先が使っていたものを、大事に保管していて、これほど嬉しいことはない。
拙いブログだが、こうして書いて公開していたから、映画関係者が見つけて下さることができたのだ。
この道具を使っていた千太郎や清らも、きっと喜んでいるに違いない。
コメント
コメント一覧 (4件)
映画の公開を楽しみにしています。必ず見に行きます。
コメント、ありがとうございます!
観たら、感想も語り合いましょう!
「雪の花」この映画に使われるメスがオールドクリニックの収蔵品で有ることを、正月に帰省した長男に話すと、なんと素晴らしいことか、映画鑑賞で注目するよと言いました!親父も是非見るようにとも言われ、機会が有ればと楽しみにしています!
謹賀新年
エールをありがとうございます。
御子息が故郷のふるいものに興味を持って下さったら、これほど嬉しいことはありません。