おもちゃみたいな秤
ひとつ前のブログで、精密化学天秤を紹介しましたが、
オールドクリニックには、ものの重さを測定する器具がいくつも遺っています。
今日、紹介するのは、小さな小さな、まるでおもちゃのような、さおばかり(竿秤・棹秤)。
最も古典的な、原始的なものですが、
それでも、最大1gまで、0.01g刻みで重量を測定可能な優れものです。
竿の本体は象牙製。長さ約21㎝。
もちろん日本製、明治時代半ばのものと考えられます。
A small toy-like scale (balance).
The most classic and primitive, but still, excellent in quality that can measure weights from 0.01g to 1g.
There are several marks as shown below, probably indicating that passed the accuracy test.
The body of the rod was made of ivory.
Made in Japan, 21 cm long. Circa mid Meiji perioda
しかし、性能は一流!
この黄色いクリップは、家庭用の電子天秤で0.4gでした。
下の画像をご覧ください。
このさおばかりで測定すると、0.44gでした!
電池も電気も要らない。こうやって重量を測定できるんですよ。
てこの原理を利用したさおばかりには、当たり前のことなんだけど、
デジタルに慣れた現代の私達は、こういうのが、むしろ新鮮ですね。
品質保証の証
重量や長さ、そして、時刻をちゃんと測定することは、その国の文明(産業・経済)の基本。
このおもちゃのような秤でさえ、製造した会社の製品番号は、検定の証が刻まれており、重要な役割を果たした道具であることが分かります。
明治時代の人々の意気込み、正確さを求める気質、そのようなものが感じられます。
このオールドクリニックが、野村医院として活躍していた時代、祖先(初代・千太郎)はこの秤で薬品を調合していたに違いありません。
少し話が脱線しますが、こういうことも含めて、ちゃんと日常のことを普通にできる国・民族であることを証明して、初めて、欧米列強は不平等条約を解消してくれたのだと思います。
そう考えると、こんなおもちゃみたいな道具にも、感謝感激ですね!
☆☆☆
今日の話はここまでです。
オールドクリニックに遺されている古い道具や薬品に興味を持って、最後まで読んでくださりありがとうございました。
まだまだ話は続きますので、どうぞお楽しみに!
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