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やまぞえ絆リレー2020
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やんばいのぉ山添村
ええ天気やなぁ山添村
『やんばいのぉ』とは、山添弁で『いい天気だね』という意味です。
『やんばいのぉ山添村』は、関西弁では『ええ天気やなぁ山添村』になります!
『やまぞえ絆リレー2020』2021年5月9日に延期となりました。

水銀を含んだ医薬品 オールドクリニックの収蔵品㉔

目次

Old medicine containing mercury かつて水銀が身近な存在だった時代

Old medicines containing mercury
Left: Bottle of Mercury(I) chloride, Also known as the mineral calomel
Product by Tanabe Gobei Store (predecessor of Mitsubishi Tanabe Pharmaceutical Co. Lt., today)
Height 5cm
Circa at the latest until 1920.
It was once widely used in daily practice as a diuretic, laxative, and ointment for cutaneous syphilis.

Right: Ointment vessel containing Mercury(II) oxide
Product by Ryunkodo Takada Seiyaku-Sho
Height 4cm, Diameter 5cm
Circa at the latest until the 1940s.
It was also once used to treat ocular infections such as conjunctivitis.

However, these mercury-containing medical agents are now regulated in many countries. The disinfectant was discontinued in 1973. (Some of the raw materials manufactured overseas have been still imported and in our daily market.) Also, the use of mercury in medicines, cosmetics and pesticides was prohibited in 1974.

水銀を含んだ古い医薬品達
左; 甘汞(かんこう)(塩化第一水銀)calomelの瓶
田邊五兵衛商店の製品(現在の田邊三菱製薬の前身)
高さ 約5㎝
おそらく、遅くとも、1920年まで。
かつて、利尿剤、下剤、皮膚梅毒への軟膏として日常診療の中で広く使われていました。

右;黄降汞軟膏(おうこうこう)(酸化水銀)の容器を
龍雲堂高田製薬所の製品
(埼玉県に本社のある高田製薬とは、まったく関係ありません。)
高さ 約4㎝、 直径5㎝
おそらく、遅くとも、1940年代まで。
これも、かつて、結膜炎などの眼科的感染症の治療に用いられました。
日本では、黄色いものは黄降汞、赤いものを赤降汞(せきこうこう)とも呼んでいました。

しかし、今日では、多くの国々でこれらの水銀の含んだ医薬品は規制の対象となっている。消毒剤は、1973年に製造が中止されました。(海外製造の原料を輸入し、販売されているものがあります)また、水銀を用いた医薬品や化粧品、農薬への使用は、1974年に禁止されました。 

かつての田邊五兵衛のロゴ?
上蓋のシール 戦時色?のデザインから、1935~1945頃のものか?
住所は、薬の街として知られる「大阪市東区道修町一丁目」と読める。

水銀が身近にあった生活。。。山添村でのこれらの薬剤を用いた医療

甘汞は、かつては「カロメル」とも呼ばれ、日本中に流通していたお薬でした。
山添村でも、つまり、野村医院においても、この薬品棚に遺されていたように、日常診療のなかで処方されていたにちがいありません。

しかし、少なくとも1970年代なかば以降使用されなくなって、医学部で教えられることもありません。私も倉庫でこの薬品瓶を目にするまで、全く知りませんでした。
調べてみると「利尿剤」「下剤」として用いられたとあります。
 ・利尿作用とは、水銀の毒性による尿細管障害が結果的に尿量を増やした結果? 
 ・・下剤とは水銀の毒性による消化管粘膜の障害の結果では?
と推測しているのですが、いやはや、医学とは誠に素晴らしい(恐ろしい)・・・・
そのうえ、「皮膚梅毒」にも用いられたとありますが、これはどのような作用機序によって効果を呈したのでしょうか。あるいは、人々が効果があると信じるようなできごとがあったのでしょうか?

黄降汞軟膏も、広く用いられてたようです。
当時、眼の感染症が蔓延していました。
現代では考えられないくらい、空気も悪く、生活の場でも職場では換気も悪い環境で生活していました。
眼の感染症で失明する人がたくさんいましたから、眼の消毒に関する薬品や医療器具はオールドクリニックに色々と遺されています。

かつては、血圧計にも体温計にも水銀は用いられていました。
水銀による公害もありました。
いまから考えたら、驚くほど身近に水銀は存在していて、それなりに生活を支えていたものだったのです。

「汞」は水銀。甘汞Calomelや水銀Mercuryの語源

なじみが薄いですが、「汞」は「こう」「みずがね」と読み、水銀という意味の漢字です。
かろうじて今でも目にする言葉としては、「昇汞水(しょうこうすい)」くらいでしょうか。

さて、この甘汞・カロメルCalomelは、
ギリシャ語のKalos(美しい)+ Melas(黒い)= Calomel(黒いもの・水銀から作られた美しい物・白い粉末の薬)。
melenaとは、黒色便(消化管からの出血によって黒くなった便通)、メラニン色素(melanin)など、melasは馴染みのある言葉です。
ところで、水銀Mercuryの語源は、ローマ神話のMercurius(ギリシャ神話のHermes)に端を発します。
Mercuriusは、運動神経抜群な神様。素早く行動し、神話の中ではアポロンの牛を盗んでいます(だから、泥棒の神様でもあるらしい)。6世紀に水銀が発見された時に、平面を素早く動き回る水銀の滴をみて、錬金術師がMercuriusを思い出してMercuryと名付けたそうです。惑星Mercury(水星)は、すぐに見えなくなるからその名前がついたのだとか。
語源って、やっぱり面白い!

さて、なじみの薄い漢字が登場する展示品がここにもあります。良かったら覗いでください。

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今日のブログは、ここまでです。
拙いブログ、野村医院・オールドクリニックの古い話に興味を持って、
読んでくださり、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

野村 信介のアバター 野村 信介 山添村 野村医院長

60歳を過ぎて、山添村で野村医院を継承した開業医です。長年、三重県で勤務医をして過ごしましたが、年齢とともに、郷愁の念断ちがたくなり戻ってきました。
野村医院での診療の傍ら、村興しにも精を出しております。若い頃にはなかなか気づかなかった山添村の素晴らしさを、このサイトで皆さんに発信していきたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。

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