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絆リレー祭2023
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やんばいのぉ山添村
ええ天気やなぁ山添村
『やんばいのぉ』とは、山添弁で『いい天気だね』という意味です。
『やんばいのぉ山添村』は、関西弁では『ええ天気やなぁ山添村』になります!
2024年7月20日(土)14時半~ 野村議員の講演会・議会報告会開催します

7月20日議会報告会&講演会レポート 後編 アンケート結果① 村営診療所に関して

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7月20日(土)私の議会報告会&講演会の、第一のテーマは「山添村の医療の今後」であった。

昨年度の未来創生計画で、行政は三つの診療所体制を基本としていた文言を改め、村民が望む医療制度を築くと表明した。これは、「三つの診療所を統合することを前提」とした方針であるが、時期尚早とする意見も根強い。村民全般にこの議論がまだ育っていないことを、私も危惧している。そこで、将来の医療体制をテーマに議会報告会&講演会を開催した。ありがたいことに、吉本清巳先生(奈良県立医科大学総合医療学講座教授)はその主旨をご理解くださり、特別講演を引き受けて下さった。
ここに集計したアンケートは、当日の参加者に実施したものである。

参加者は、受付の芳名録に名を記した人198名、芳名録に記載しなかった人が少なくとも6名はあった。
つまり、参加者の総数は、少なくとも、204名(村内176、村外28)であった。

そのうち、アンケートに答えて下さったのは、参加者の約76.5%、156名(村内131、村外25)であった。
アンケートに答えた村民131人のうちわけは、男性55名、女性48名、性別不詳28名であった。
年齢別でみると、39歳までが5名、40歳~59歳が22名、60歳~79歳が90名、80歳以上が13名、年齢不詳が1名であった。

目次

①診療所は、今後、どうすべきか?

【設問】村の診療所は、今後どうあるべきでしょうか?
    ・今のまま三つを維持する
    ・二つに統合する
    ・ひとつに統合する
    ・分からない     

村民の解析

131人全員の意見。現状維持50名、ふたつに統合13名、ひとつに統合44名、分からない19名、無回答5名

【結果】 
今回のアンケート調査では、上の円グラフに示したように、ふたつに統合、あるいは、ひとつに統合するという”統合推進派”57人(44%)が、現状維持が好ましいとする”現状維持派”50人(38%)を、わずかだが上回った。このことは、注目せねばならない。

回答者村民131人のアンケートの意義。3000余人の村民の約4.3%の結果である。30ケ大字のうち助命地区からは参加者がなかったが、それ以外の区からは少なくとも数名の参加があったから、村民全体の意見を推し量るうえで、ひとつの参考になると判断する。
その131人のうち、統合推進派が多いことは、診療所を統廃合したいと希望する人たちを勇気づけるだろうけれど、アンケートには限界があることを付け加えておく。

まずは、私・野村信介という議員が開催した集会に来て下さった人達ということを考慮する必要がある。日頃から、医療や環境問題、分校のことなどに、興味を持っている人が、多いかもしれない。それに加えて、波多野地区からの参加者に比べ、豊原・東山地区からは多くなかったことも、結果に影響している可能性がある。
吉本清巳先生の講演や、私の医療に関する意見を、聴講したあとで、設問に答えているので、その影響を当然受けるであろう。私は極力、中立的に話をしたつもりだが、将来の医療体制の検討しようとする役場の姿勢には、多少拙速の傾向があると感じているから、回答者の中にはそれを感じ取っていらっしゃる方もあろう。私達の講演は、動画で公開している(最後に紹介)。
いつもの講演会とは異なり、今回の集会は、吉本先生の御講演に興味を持ってきた方も、少なからずいらっしゃった。その人たちは、どのような回答をされたであろうか。今は、私には推察できない。
そのうえ、今回の集会には、いつもより多くの役場職員が見受けられた。彼らが皆、アンケートに答えたかどうかは分からないが、役場職員の意見が結果には含まれていることも、考慮すべきであろう。彼らの多くは、診療所を統合したいと考えているであろうから(蛇足だが、村長、副村長、教育長の姿もあった)。

性別で分析すると

性別で、回答に特徴があるか、解析してみた。
下のグラフのように、男性は、ふたつに統合、あるいは、ひとつに統合するという”統合推進派”は、ほぼ半数。現状維持を望む”現状維持派”を上回った。

村民男性の意見。現状維持20名、ふたつに統合7名、ひとつに統合20名、分からない7名、無回答1名

逆に、女性は、”現状維持派が、”統合推進派”を上回った。数字だけで言うと、女性の方が、統合に慎重だということになるが、この割合の差には、統計学的な有意差を認めなかった(解析は提示せず)。

村民女性の意見。現状維持21名、ふたつに統合4名、ひとつに統合14名、分からない7名、無回答2名

回答欄に性別を記載しなかった村民28名のうち、”統合推進派”は、現状維持を望む人をやや上回り、43%であった。その割合は、上記の、男性49%、女性37%のちょうど中間となった。

性別を回答しなかった村民の意見。現状維持9名、ふたつに統合2名、ひとつに統合10名、分からない5名、無回答2名

以上をまとめると、性別による解析からは、あまり特徴的な傾向はないという結論になりそうだ。

若年者と高齢者での比較


つづいて、59歳までの若年者(27名)と60歳以上の高齢者(103名)に分けて解析してみた。年齢の回答がなかった1名は解析から除外した。
現状維持派”の割合は、若年層、高齢層のいずれにおいても、40%弱できわめて近似した。ひとつに統合したいという意見も近似した。
差を認めたのは、若年者に「分からない」と答えたひとが多かった点であった(27名中の7名、26%)。若い人の方が、村政に興味がなくて「分からない」と答えたのか、それとも、慎重な人が、会場にたまたま多かったのか、判断は困難であるが、ここに記しておく必要があると考える。

(若年者という表現の是非はあるが)59歳以下の村民の意見。現状維持10名、ふたつに統合0名、ひとつに統合9名、分からない7名、無回答1名
60歳以上の村民の意見。現状維持39名、ふたつに統合13名、ひとつに統合35名、分からない12名、無回答4名

村外からの参加者の回答

村外から三者した25名の意見。現状維持7名、ふたつに統合0名、ひとつに統合8名、分からない7名、無回答3名

ところで、村外から参加した人達は、どうだったであろうか。
結論から言うと、見事に三等分された結果であった。
つまり、現状維持派、ひとつに統合推進派分からない、という意見が、3割ずつを占めた。
自分の故郷でないから、「分かりません」ということなのであろう。

ただし、この「村外からの参加者」には、週末だけ故郷に帰ってくる、本来村民と呼んでも支障のない人たちが、かなり混じっている。元々山添村で育った彼らは、就職や結婚を機に村を離れて行った人たちである。現在は住民票が村外にあるから、アンケートの回答欄に「村外」と記していらっしゃる。その多くは、今も、村の集会や出役にも参加されている人たちである。村外に住んでいても、このような集会に参加するのだから、政治への関心が高い人たちであろう。おそらく「分からない」ではなく、現状維持か統合かに、自分なりのご意見をこたえていらっしゃると考えられる。

②診療所に求めるものは?

【設問】診療所に、何を求めますか? 希望するのもに〇を付けてください(複数可)
  ・毎日、診療している。            
  ・土曜日や日曜日、休日に診てほしい。
  ・夕方、仕事が終わってからでも受診できる。   
・朝、仕事前に、診てほしい。
  ・院外処方は困る(院内処方を希望する)     
・院外処方が良い。
  ・CTやMRI検査がある。             
・レントゲンや検査室も装備した往診車。
  ・オンライン診療                
・その他(                 )

この設問に対して、現状維持派統合推進派も、分からない派も区別なく、多くの人が、希望する項目に〇を付けて下さった。ひとつも〇を付けなかった回答者は、29人のみであった。
結果を、それぞれの派に分けて、見てみることにする。

各項目が〇を獲得した人数を示す。赤色の数字が総数。青色が現状維持派の数、緑色は統合推進派、橙色は分からない派。
  ・毎日、診療している。
   計66人 (25人 35人 6人)          
  ・土曜日や日曜日、休日に、診てほしい。
   計52人 (23人 21人 8人
  ・夕方、仕事が終わってからでも受診できる。
   計42人 (15人 19人 8人)  
  ・朝、仕事前に、診てほしい。
   計1人 (0人 0人 1人)
  ・院外処方は困る(院内処方を希望する)
   計32人 (15人 13人 4人)    
  ・院外処方が良い。
   計5人 (1人 4人 0人
  ・CTやMRI検査がある。
   計37人 (12人 21人 4人)            
  ・レントゲンや検査室も装備した往診車。
    計17人 (6人 9人 2人
  ・オンライン診療
   計17人 (4人 13人 0人)  
             
  ・自由記載の要望<その他>は下に紹介する

これを見ると、診療所に何を求めているのか考察することが可能である。
それは、現状維持派、統合推進派の区別なく、地域の診療所として、休診が少なくて、週末や夕方も診てもらえる施設を望んでいるということ。日頃から、休診が多いという不満を耳にすることがあるが、それを裏付ける今回の結果である。

私の予想に反し、CTやMRI設備などを求める声も多かった。それは、自由記載の中にも多く認めた(後述)。オンライン診療を求める若い人たちもあった。

設問のなかで唯一、相対する項目である院外処方に対する回答は、明暗をしっかり分けた。つまり、院外処方が良いと答えたひとが5名だけだったのに対して、院外処方は困る(院内処方を希望する)に〇を付けた人は32人にも上った。院外処方を望んだ5名のうち4名が、統合推進派の人たちだった(詳細は省略)。回答者のなかに、院内処方を続けている野村医院に通院している人たちも多くいらっしゃったであろう。院外処方に馴染みのない人たちの回答が、今回の結果に影響した可能性はある。

自由記載のまとめ

参加者が、自由に記入した診療所に望むことを、順不同で紹介する(私の言葉で意訳しているものもある)。

診療所現状維持を望む人たちの声
 ・村民の利便性を優先すべき
 ・近くにあることで安心感がある
 ・医療サービスの向上は、スタッフの質の向上に負うもの
 ・地域の医療を優先しないと村はさらに荒廃する
 ・これからの高齢化を考慮すれば、やはり三つあることが大事
 ・三つあるから、週末にローテイションでひとつを開けてほしい
 ・一泊でも入院できるような体制を
 ・村の各地区の人口分布を考えながら、統合を検討せよ
 ・人口減るからこそ、三つあることが大事
 ・高齢者にはなるべく近い診療所に受診させたい

統合を望む人たちの声
 ・限られた予算を集中的に利用すべき
 ・数よりも質が大事
 ・効率化を考えたら統合しかない
 ・医療設備充実を、内科専門医を雇用してほしい
 ・整形外科医を雇用してほしい
 ・医師一人を診療所に常駐、もう一人は往診や訪問を
 ・時間外でも診てもらえるように
 ・どちらにせよ車を利用するしかないのだから、統合しても良いでしょ

分からないと答えた人たちの声
 ・今の体制に不足なし
 ・役場と連携してPHR普及を
 ・予防医療を推進すべき
 ・地域包括の実践を
 ・訪問看護や健康相談に力を注いでほしい
 ・医療の質を上げるには統合が良い
 ・決まった時間にちゃんと診てもらえる体制を
 ・福祉タクシーではなく、受診用の専用タクシーを

自由記載の内容を見ると、現状維持派も、統合推進派も、分からないと答えた人たちの意見も、理想としている診療所の姿には、著しい差はなくて、類似しているように感じるのは私だけであろうか。

最後に

山添村行政は、この秋(2024年)をめどに、村の医療体制はどうあるべきか、住民に意見を問い始めるであろう。おそらく半年くらいの時間をかけて意見を聞く予定で、来年度令和7年度には、議会でも審議していくことになるかもしれない。
前編の、吉本清巳先生の御講演や、私の医療に関する意見、そして、後編であるこのアンケートの集計結果が、村民が、自ら判断して将来を選択することに、少しでも寄与することを願っている。

行政は、今回のような集会だけでなく、ネットなども利用していくようだ。今回も私の集会に若い人の参加が少なかった。彼らは興味がないのではなく、集会に来る時間がないのであろう。
より適切な方法と、そして、慎重に時間をかけて、議論を進めてもらいたいと願っている。
村外に住む元村民の意見にも、行政は耳を傾けるべきであろう。

今回吉本先生をお招きした講演会やアンケートは、議員でなければ、出来なかった。医師でなければ、やはり出来なかったであろう。今後も、議員である限り、故郷の医療体制を見守ることは、私の使命のひとつと信じている。
これは、新しいことの始まり。これからの議論をしっかり見守り、時には意見していきたいと考えている。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。ご意見をお待ちしております。
項を終えるにあたり、吉本清巳先生を始め、講演会開催に協力していただいた方々に深謝申し上げます。

このアンケート結果を、パンフレット形式にした書類形式で、ダウンロードできます。

予告 後編②では、馬尻山のありかた、オーガニックに関するアンケート結果を

すでに開催から40日を経過してしまったが、続いて、同じ日に実施した馬尻山やオーガニック農業についてのアンケート集計も、近日中に公開する予定です。どうぞ、お楽しみに。

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この記事を書いた人

野村 信介のアバター 野村 信介 山添村 野村医院長

60歳を過ぎて、山添村で野村医院を継承した開業医です。長年、三重県で勤務医をして過ごしましたが、年齢とともに、郷愁の念断ちがたくなり戻ってきました。
令和3年秋からは、村会議員にも選んでいただきました。野村医院での診療の傍ら、村興しにも精を出し、また、地域の問題に少しでも取り組んでいけるよう努めております。。
若い頃にはなかなか気づかなかった山添村の素晴らしさを、このサイトで皆さんに発信していきたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。

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