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やまぞえ絆リレー2020
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やんばいのぉ山添村
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『やんばいのぉ』とは、山添弁で『いい天気だね』という意味です。
『やんばいのぉ山添村』は、関西弁では『ええ天気やなぁ山添村』になります!
『やまぞえ絆リレー2020』2021年5月9日に延期となりました。

【お米ができるまで(2)<稲の成長と田植え準備>】 田んぼの不思議♪⑤

日本の食文化の中心で、私たちが毎日食する「お米」。

種籾から収穫まで1年かかりとなる山添村での米作りの一連の流れを、作業ごとに、農機具や農家の知恵や創意工夫と共に改めて紹介します。各地域や農家でやり方が少しづつ異なりますので、ここでは、筆者の独断で、一般的な作業・工程を紹介しますのでお許しください。 数回に分けて投稿させていただきます。

●前回は、田んぼの準備や、籾まきまでについてお話しさせていただきました。さて、いよいよ、撒いた種が大きく成長して、田植えが始まります。その過程を、標準的、具体的な月日を参考に添えて説明していきます。

目次

○稲の成長

前回、育苗箱に種まきしました。
種まきした籾は、早速、豊かな実りに向けて、活動を開始しました。あっ!籾が膨らんで、黄緑色の芽と真っ白な根が出てきました・・・・♪ それでは、今回は、ここからスタートしましょう。

(8)4月1日:育苗箱へ種まき(育苗箱で稲苗を育てる)【種まきから0日目】 

前話の(8)と同じです
育苗箱に土を入れて、籾を撒いて、水を与えて、種まきが終了し、育苗機に入れて発芽させます。

(9)4月5日:種籾の発芽のしくみ【種まきから3日目】

種まきした育苗箱は、そのまま育苗機に入れて、発芽を待ちます。それでは、育苗機に入れた育苗箱の種籾はどのように発芽するのでしょうか?

種籾は、水分・温度・酸素の条件が整うと、種籾の胚(はい)が活動を始め発芽がします。シートで囲まれた育苗機の空間は、常に28℃程度、水蒸気が発生する、発芽の好条件を保っています。光は特に必要ではありません。

種籾は、根と芽の幼植物(発芽・発根したばかりの植物の幼い状態のこと)養分の貯蔵庫である胚乳(はいにゅう)とに分かれます。胚は胚乳の養分を根や芽を作る材料に利用します。

発芽の第1段階は吸水です。吸水して胚の容積が大きくなると、胚の上部のえい(籾殻)が割れます。ここから、水分が30%程度(参考:乾燥籾は、約15%)まで吸水させて、細胞の分裂や伸長を促します。吸水して胚の容量が大きくなる発芽時の状況を「ハト胸状態」と呼んでいます。

また、稲の発芽温度は、最低10~12℃、最高40~42℃でも発芽しますが、最適なのは、約25~30℃と言われています。

ハト胸状態でまかれた種は、その後、えいが割れて芽が出て続いて根が出ます。種籾から根が出るまでは、胚乳の栄養を利用しています。根が出ると、土の中の水を吸収しはじめ、水に溶けている養分を吸収して育ちます。

3日程で、芽が出て2cm程の白っぽい苗に育ちます。

(10)4月7日:育苗機でスクスク発芽【種まきから7日目】

芽が出た苗は、育苗機の発芽・育苗に好条件な空間の中で、苗がスクスク育っていきます。昔は、外の苗代田にそのまま並べて、ビニールシートで覆い、暖かく保温しましたが、やはり気温の管理は一定では無く不安定でしたので、今は育苗機で発芽させるやり方が主流で、苗の育ちや労力も軽減され、失敗しない苗を育てられるようになりました。

種まきから約1週間で、苗は、5cm程に育ちます。最初、白っぽかった苗は、やがて黄色がかった苗となりスクスク育ちます。

さて、いよいよ、苗代へ搬出です♪

(11)4月7日:ビニールハウスの苗代に搬出して育てる【種まきから14日目】

5cm程度になった苗は、ビニールを張ったハウス(苗代)に搬出します。搬出直後は、外気温が低く、気温が安定しないので、しばらく2、3日程度、白いシートで覆い保温して育てます。いわば、布団を掛けるようなものです。

その間も含め、毎日、たっぷりの水をかけます。

やがて、黄色がかっていた苗は、徐々に大きくなると共に、黄緑色に、そして、緑色に苗の色が濃くなり、苗も太くなり、密度も多くなってきます。

水やり
緑色の苗に

種まきから約2週間で、苗は10cm程に育ちます。お米のできの良し悪しは、苗の出来に大きく左右されるため、良い苗を育てれば、米作りの半分は成功という意味で、昔から「苗半作(なえはんさく)」「苗代半作(なわしろはんさく)」と言われています。

前回にもお話ししましたが、育苗箱1箱につき、種は約1万粒が標準の目安になります。最近では、蜜苗と言う手法で苗の育て方、田植えの仕方もありますが、この手法、理念は改めて説明するとして、今回は、標準的な手法を説明しています。

(12)4月14日:みんなで井出掛け作業(田んぼの水の確保)【種まきから14日目】

苗を育てている間に、並行して田んぼの準備も始めなくてはなりません。以前に述べましたが、田んぼは、字のごとく、水田と書きますので、水が命です。

そこで、田んぼへの水の確保を行います。川から取り入れた水は、水路を通して、数か所の田んぼへと流します。私たちの地域、山添村では、「井出(いで)掛かけ作業」と呼び、田んぼの関係者が協力して、川から取り入れる堰や水を流す水路の泥上げなどの掃除を行います。

井出
井出掛け

川を堰き止めて水を取れるようにした施設を堰と呼びますが、私たちの地域、山添村では、「井出(いで)」と呼んでおり、その「井出」から水を取って流す、つまり「水を掛ける」ので、「井出掛け作業」と呼ぶようになりました。

稲作文化を持つ、私たち日本人は、どの地域でもこのように、お米を作る大切な水を確保するために、みんなで協力して、水を確保することを先祖代々行ってきましたので、皆で助け合う精神は、この稲作文化の中から生まれ、身についている素晴らしいことだと、私は思っています。

ただ、地域や時代によっては、水争いを行ったこともあったと聞きますが、そんな時、平等に水を按分するために、水路に石などを置いて、皆で分かち合うルールを決めました。今でも、水路に不用意に置いてあるなぁと思われる石などは、先人の方々の工夫かもしれません。これも、地域で暮らす人々の豊かな暮らしを実現するためだったのだとご先祖様の努力に感謝です。

(13)4月14日:田んぼに水を溜める効果【種まきから14日目】

実は、日本の土壌は、決してお米を育てるのに適していたわけではありません。稲はもともと熱帯の作物で、日本のような温帯で安定的に栽培できるようになったのは、田んぼに水を溜めるという工夫があったからです。

それでは、どのような特徴や工夫があったのでしょうか。

まずは、稲の特徴です。稲の茎の断面には、真ん中に大きな穴が開いています。これが酸素を送るパイプです。これが稲の「通気系」と言う仕組みで、大気中の酸素を陸上から水中の根に送り込むので、水が溜まっていても生育できます。いわば、ストローで地上の空気を吸っている感じです。

次に、水を溜める目的や効果は次の通りです。

①稲を寒さから保護します。
水には、「熱しにくく、冷めにくい」という性質があります。田植えの直後の低温や冷害などへの対処として、水を深く溜めることにより、水の保温効果で稲を護ることができます。

②肥料分を供給します。
養分を含んだ川の水を溜めることにより、窒素・リン酸・カリはもちろん、微量要素まで、様々な肥料分を供給することができます。

③連作障害を無くし栽培続けられます。
・川の水を溜めることで、不足しがちな微量要素を補給できること
・逆に、過剰な成分は水が流し出してくれること
・田んぼに水を溜めると、土の中は酸欠状態になり、有害な微生物や線虫などの生物が死滅すること

これらのことから、水を溜めることで連作障害を無くして、同じ作物を毎年栽培し続けることができます。特に、田んぼの大きな特徴は、連作障害が無く、毎年、同じ作物を栽培し続けることができることです。

④雑草の発生を抑えます。
田んぼに水が溜まっていると、土の中は酸欠状態になります。この条件で生育できる雑草が少ないため、多くの雑草を防除することができます。

⑤土の中の水分調整が不要です。
土の中の水分調節が不要になるので、安定的に稲を育成できます

水が張りつつある田んぼ

(14)4月25日:代掻きの準備(田んぼに水を入れる)【種まきから25日目】

それでは、田植えの準備を始めていきましょう♪

田んぼに水が流れてくるようになると、次は、代掻きです。前回の(2)、(3)で説明しましたが、「(2)畦塗り」「(3)田起こし(春スキ)」で準備した田んぼに水を入れます。

昔から、みんなが大切にしてきた水ですので、自分の田んぼに独り占めすることなく、隣の田んぼにも行き届くように、わざと下流に水が漏れる配慮しながら数日かけて水を入れていきます。

最近、出作(農地を借りること)で地域外の農家の方々が営農されていることもあり、「地域の細かなルールが分からないとか、伝えられていないこともある」と聞くこともありますが、同じ地域の自然環境を利用させていただいて作物を育てる同士ですので、お互いに配慮する気持ちは、今でも大切にしたい私たち日本人の精神だと思います。

私たちの地域、山添村では、田んぼに水を引くことをいろいろな言葉で表現しますので、以下に参考に説明します。

・田んぼに水を張る:「張る」は一面に溜めること
・灌漑(かんがい):人工的に水路などを使って田んぼに水を導きいれること
・灌水(かんすい):単に水を田んぼに注ぐこと
・湛水(たんすい):自然に水が田んぼに溜まること です。

一般的に、田んぼで水に関する言葉としては、「田んぼに水を張る=一面に溜める」「灌漑=水路から水を入れる」「湛水=(大雨などで)自然に水が溜まる」が使われます。ちなみに、「灌水」はチューブなど精密な水の管理により注ぐことで、施設園芸の水やりなどによく使われます。

一面に水が張った田んぼ

(15)4月28日:代掻きの準備(代掻きの目的と効果)【種まきから28日目】

代掻きは、田起こしが完了した田んぼに水を溜めて、土をさらに細かく砕き、丁寧にかき混ぜて土の表面を平らにする作業です。

それでは、代掻きにはどのような目的・効果があるのでしょうか♪

①田んぼの水漏れを防ぐ。
②土の表面を均して、苗がムラなく生育するようにする。
③苗を植えやすくし、苗の活着と発育を良くする。
④元肥(もとごえ)をムラなく混ぜ込む。
⑤藁や雑草を埋め込む。
⑥雑草の種を深く埋め込むことにより、雑草の発芽を抑える。
⑦有害ガスを抜き、有機物の腐熟を促進する。

特に、代掻きは、水を溜める器である田んぼの水漏れ防止の目的があります。

田起こしした田んぼは、適度な空気が混ざる理想的な土の塊状態「団粒構造」になっています。(前回の「(1)田の荒起こし」「(3)田起こし(春スキ)」で説明)この時点では、土は団粒で隙間に空気が入り込んでおり、水を溜めると、その隙間に水が流れて地下に浸透し、なかなか水が溜まりません。そこで、水を溜めて土をかき混ぜることにより、土がさらに細かく隙間がなくなり、水が浸透しにくくなることで、水が溜まりやすくなります。例えば、土に水を入れ、シェイクしてしばらく置いておくと、大きな土の塊が下に、細かな土の塊、泥、粘土が上に沈殿して、層が出来上がります。この層の状態になると、上の細かな土層で水が浸透しにくくなり、水が溜まりやすくなる理論と同じく、代掻きにより、田んぼは、このような層が出来上がり、浸透しにくく、水が溜まりやすくなるのです。

田起こしと代掻きによって改良された団粒耕造(概念図)

例えば具体的には、土壌物理学で、「減水深」という指標があります。1日で田んぼの水がどれだけ必要かを表す数字(実験実証データ)ですが、代掻きする前の数字は、約150mm/日に対して、代掻き後、田植え時の数字は、約15mm/日と1/10に変わります。つまり、水持ちが良くなるという実験データがあります。 私たちの地域、山添村では、代掻きのことを「マンガかき」と呼ぶこともあります。これは、「馬鍬(まぐわ)」を使って田んぼを耕すことから言われる言葉です。

(16)4月28日:代掻き作業【種まきから28日目】

田んぼにいっぱい水が溜まると、トラクターで耕して土を混ぜます。代掻きは、田んぼの水漏れの防止の目的もありますので、何度も田んぼの中をトラクターで耕し、表面を平らにしていきます。

トラクターでの作業速度は、できるだけ低速で丁寧に行い、時速約2~4kmが標準です。またこの際に、雑草の除草剤散布を行います。

代掻きは田植えの5~6日前に行い、田植えまで少し間をおいて、土を落ち着かせます。均平精度が高いと、田植えを行ったあとも苗立ちが均平になり、成長のムラも無く、高品質につながるからです。

これで、田んぼの準備が整いました。いよいよ、次は田植えです♪

さて、次回は、「田んぼの不思議♪⑥「お米ができるまで(3)<田植えと水の管理>」をお届けします。

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この記事を書いた人

こせがれのアバター こせがれ 兼業農家のご主人

山添生まれ、山添育ち。農村の暮らしを通して、食や農、自然や地形、歴史や文化、スポーツや子育て、健康や長寿‥などなど、様々なことに関心が芽生えて来た、小せがれです。
「足元より、少し前を向いて歩きたい♪ どうせ一度の人生だから」をモットーに実践しているつもりです。
これからもよろしくお願いしますm(._.)m

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