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やんばいのぉ山添村
ええ天気やなぁ山添村
『やんばいのぉ』とは、山添弁で『いい天気だね』という意味です。
『やんばいのぉ山添村』は、関西弁では『ええ天気やなぁ山添村』になります!
『やまぞえ絆リレー2020』2021年5月9日に延期となりました。

【お米ができるまで(1)<田んぼ・稲苗の準備>】 田んぼの不思議♪④

日本の食文化の中心で、私たちが毎日食する「お米」。

種籾から収穫まで1年かかりとなる山添村での米作りの一連の流れを、作業ごとに、農機具や農家の知恵や創意工夫と共に改めて紹介します。各地域や農家でやり方が少しづつ異なりますので、ここでは、筆者の独断で、一般的な作業・工程を紹介しますのでお許しください。 数回に分けて投稿させていただきます。

目次

田んぼの準備

稲刈りが終わると、早速、次の年の田んぼの準備が始まります。ここからスタートしましょう。

(1)田の荒起こし=冬スキ、冬オコシ、冬ウチ(11月~1月頃)

稲刈りが終わると、刈り取った後の田んぼを耕します。
山添村では、あまり「耕す」と言いません。「スク」「オコス」「ウツ」と言います。
「スク=鋤く」「オコス=起こす」「ウツ=打つ」と考えられ、「鋤(スキ)で土を反転させて起こす」に由来している言葉と考えられます。それに対して「耕す」とは、「起こした」土を砕き、畝など作付できるように仕上げることと考えられます。

冬スキの風景

荒起こしの目的は、土中に空気を取り入れ、寒気や日にさらして、稲株や藁等の有機物の分解促進や有害ガスの排出など、翌年の稲の根がよく育つためです。これを「乾土効果」と言います。

「荒起こし」と言われるぐらいですから、荒く起こします。
通常、トラクターのロータリーで起こしますが、鋤(スキ)=プラウを使って土を反転させることもあります。この時期に、丁寧に何度も起こしすぎると、砕土(土を細かく)しすぎてしまい、土中に空気をあまり含まず、効果がありません。適度な空気が混ざる理想的な土の塊状態が必要です。この状態を、土壌物理学では、「団粒構造」と呼んでいます。

(2)田んぼの防水作業「畦塗り」(3月頃)

田んぼは、水を溜める器です。水を溜めるには、囲まなければならず、これを畦畔(畦)と言います。畦塗りは、この田んぼを取り囲んでいる土の壁に田んぼの土を塗り付けて、割れ目や穴をふさぎ、防水加工をすることです。

畦塗り機

モグラやケラが開けた穴から水が漏れるのも防ぎます。水が漏れると、水の管理が困難になるだけでなく、除草剤や肥料の効果も低下します。

昔は、熊手と鍬で、田んぼの土を水で練り、壁を塗るように人力で行っていましたが今は、トラクターに畦塗り機を装着して作業が行われます。畦切り刃が下から上向きに回転して、細かく砕かれた土を押し付けて、堅く締まった丈夫な畦を作ります。土が細かく砕かれているため、隙間のない畦ができます。

(3)田起こし=春スキ、コナシ(3~4月頃)

田起こしは、田んぼの土をなるべく乾燥させ、肥料を混ぜる作業です。

明治初期までは一年中水を湛えた「湿田」がほとんどでしたが、今は、秋に田んぼの水を抜いて乾かした「乾田」です。冬に荒起こしをし、春に深く耕すことで土が細かく練り上げられ、地力を向上させ収量を増やす効果があると言われています。

春スキの風景

それでは、具体的にはどのような効果、目的があるのでしょうか。

①土を乾かす

土が乾くと窒素肥料が増加します。土に含まれる窒素は、植物が吸収しにくい有機態窒素ですが、田起こしをすることで、土の中に空気が入って乾燥しやすくなり、微生物による分解が促進され、植物が吸収しやすい無機態窒素に変化します。これを「乾土効果」と言います。

また、土を起こして乾かすと、土が空気をたくさん含むので、稲を植えたときに根の成長が促進されます。深く耕すほど高収量が得られるという意味で「七回耕起は、肥いらず」「耕土一寸、玄米一石」などと言われています。

②肥料を混ぜ込む

肥料をまいてから田起こしをすれば、土に肥料をまんべんなく混ぜ込むことができます。

③有機物を鋤き(すき)込む

稲の切り株や刈り草、レンゲなどの有機物を鋤き込みます。この有機物を微生物やミミズなどが分解して、養分を作り出します。これが有機質肥料です。有機質肥料の中には、窒素・リン酸・カリをはじめとする微量な養分も含まれています。

④土を砕いて団粒化する

土を細かく砕き、植物が腐ってできた有機物である「腐植」とくっついて、直径1~10mmの小粒になったものを「団粒構造」と言います。

団粒根の概念

⑤雑草を防除する

雑草は、おもに地表下1~3cmのところから発芽します。 田起こしをして、雑草の種子を深く埋めることにより、雑草の発生を減らすことができます。

(4)苗代作り(3月下旬)

種まきした育苗箱を並べて生育させる場所を作ります。
通常、ビニールハウスで育てます。

ビニールハウスの準備

○稲苗(早苗)の準備

いよいよ、種籾の準備から種まき、育苗が始まります。1粒の種籾から、数カ月で数十粒のお米に生まれ変わりますが、ここからは、種まきから、何日ぐらいでお米になるのかも併せて説明したいと思います。

(5)塩水選(3月中旬)【種まきから-8日目】

中身の詰まった良い種籾を選ぶために塩水に浸ける「塩水選(えんすいせん)」を行います。
種籾の中身は、主に胚乳(はいにゅう)で、発芽から初期生育にかけて必要な栄養源となり、多いほうが、発芽率が高く、根に活力があり、活着にも優れているので良い種と言われます。見ただけでは区別がつきませんが、胚乳が多い籾は重い(比重が大きい)ので、塩水に沈みます。一方、胚乳が少ない籾は塩水に浮きます。これを取り除く方法を「塩水選」と呼びます。

この「塩水選」は、明治時代に開発された方法で、良質な種籾の選別が簡単にできるようになったため、当時、収穫量がかなり増えたと言われています。

「塩水選」は、比重の原理を応用しています。比重とは、水の重さと比べて重いか軽いかを数字で表したものです。1.0を基準として、重ければ、1以上になります。例えば、鉄は7.8で重いので水に沈みます。一方、杉は0.4で軽いので水に浮きます。因みに、人間は、0.923~1.002、籾は1.13前後と言われています。
「塩水選」は、水を塩水に変えることでより良質の籾種を選別できるようにします。水と塩水の比重は、生卵が浮く1.1程度にします。そうすることで、浮きやすくなり、籾の選別でより良質な籾が選別されます。確かに私たちも、海の塩水では浮きやすくなりますが、その原理です。

(6)種籾の消毒(3月中旬)【種まきから-8日目】

塩水選をした種籾は、薬剤に一夜付けてから乾燥させます。
この薬剤は、種籾を害虫から守るものと、いもち病(いもち病菌と言う糸状菌の寄生により葉や穂を枯らす)やばか苗病(葉が淡くなり、菌の影響で徒長して枯死する)などの病気から守るものです。

塩水選をした種籾は、このような専用器で薬剤に一夜付けてから乾燥させます。
消毒中の種殻(拡大図) (泡は、下から空気を入れるため)

(7)浸種(種籾に水分を吸収させる)(3月下旬)【種まきから-7日目】

消毒した種籾は一斉に発芽させるために、必要な水分を吸収させる作業を行います。これを「浸種(しんしゅ)」と言います。

種籾は、水分が13%以上になると呼吸が盛んになり、細胞の分裂や伸長が始まります。また、水分を吸収することで、胚乳(はいにゅう)の中のデンプンが分解されてブドウ糖となり、新しい細胞を作ったり、呼吸をしたりするエネルギー源となって発芽が促進されます。
浸種をする日数は水温によって異なり、積算温度(水温×日数)を100℃以上必要と言われています。例えば、水温が15℃であれば、7日間が目安になります。

(8)育苗箱へ種まき(育苗箱で稲苗を育てる)(4月上旬)【種まきから0日目】 

苗づくりの良し悪しで、その年のお米の良し悪しが左右されるので、苗づくりはとても重要です。昔は、苗代で直播して苗を育て、それをナエトリしてナエワラを作り、手植えしていましたが、今は田植え機で植え付けますのですので、育苗箱で良質な稚苗(ちびょう)をつくります。

田植えでは、大まかに1反(1,000㎡)につき、約20箱の育苗箱が必要です。(植える密度等により若干異なります。)
大量に育苗箱が必要ですので、ベルトコンベア式播種機などで種を撒きます。その流れを紹介します。

①育苗箱に新聞紙

初めに、育苗箱に新聞紙を敷きます。
なぜ新聞紙?でしょうか。次の4つの目的や効果があります。

育苗箱の底には、水が溜まらないように穴が開いています。ですので、その穴から土がこぼれないようにします。
新聞に水分が染み込み、保水性を良くします。
苗の根が穴から伸び出し、苗代田(なわしろだ)の土に根が付くのを防ぎます。これは、土に根が付くと、苗箱が取りづらくなるためです。また、根が伸びてしまうと生育ムラが発生する原因となるので、それを防ぐ目的もあります。
新聞紙を敷くことで、苗同士の根がからみあう「根がらみ」を防止します。根がらみがなくなると、田植機の植え付け爪が苗を取りやすくなり、田植え時の欠株を防止できます。

②育苗箱を播種機にセット

新聞紙を敷いた育苗箱を播種機にセットします。

③床土を入れる

ベルトコンベアで育苗箱を動かし、播種機から床土を入れます。同時に播種機からシャワー状に水を撒き、床土を湿らせます。

④種籾を撒く

更にベルトコンベアで育苗箱を動かし、播種機から乾かしておいた種籾を撒きます。育苗箱1箱に約150g(約1万粒:0.015g/粒)が標準です。

⑤覆土する

続いてベルトコンベアで育苗箱を動かし、覆土します。

⑥育苗機で発芽

育苗機械に入れて、発芽させます。約1週間で5cm程度に成長します。その後、ハウスに移動させ、育苗します。

稚苗
育苗機械 に入れていきます。
稚苗が育ってきました。
育苗箱 をビニールハウスに移動。
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さて、次回は、「田んぼの不思議♪⑤「お米ができるまで(2)<苗の成長と田植え>」をお届けします。

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この記事を書いた人

こせがれのアバター こせがれ 兼業農家のご主人

山添生まれ、山添育ち。農村の暮らしを通して、食や農、自然や地形、歴史や文化、スポーツや子育て、健康や長寿‥などなど、様々なことに関心が芽生えて来た、小せがれです。
「足元より、少し前を向いて歩きたい♪ どうせ一度の人生だから」をモットーに実践しているつもりです。
これからもよろしくお願いしますm(._.)m

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