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やんばいのぉ山添村
ええ天気やなぁ山添村
『やんばいのぉ』とは、山添弁で『いい天気だね』という意味です。
『やんばいのぉ山添村』は、関西弁では『ええ天気やなぁ山添村』になります!
『やまぞえ絆リレー2020』2021年5月9日に延期となりました。

【田んぼ”が”水を管理する】 田んぼの不思議♪③

田んぼには、稲を育てること以外に、水害を軽減・防止したり、水不足を緩和したり、水質を良くしたり、涼しくしたりなど、水をさまざまな面でコントロールして、いろいろな役割を引き出す働きもあります。
それでは、水に関わる様々な役割を見てみましょう。

目次

田んぼは「水の生産地」

田んぼで稲作をする時、最初の第一歩は水の確保です。

どこの山の水や川の水を引いてくるか?田んぼのどこから水を入れ、どこに水を流すのか?それをイメージして、計算して、設計図を描いて、ときには川の流れを堰き止めたり、ため池を作ったり、長い水路を作ったり、森に木を植えたり・・します。
都市部で水は、水道や工業などに使うため、「水の消費地」ですが、農村部で水は、田んぼで稲を育てるため、川を直し、池や水路を作り、森に木を植え、洪水を調節し、地下水を涵養(かんよう)するなど水を作り出す「水の生産地」と言えると思います。

つまり、田んぼで稲作をすることは、水をコントロールする技術でもあり、その技術が、地形や国土も作り守っているのです。

田んぼは水の生産地

日本は、雨が多くて、水はまるで急流すべりのように流れる!

日本は雨が多い国です。どれだけの雨が降っているのでしょうか?

年間平均降雨量は2,000mmです。単純に水が溜まると、1年間で2mの水が溜まるということになります。
ちなみに、世界の年間平均降雨量は900mmですから、日本は世界の2倍以上あります。
また、世界の黄河やナイル川、アマゾン川と比べると日本列島は狭く、地形が険しいため、川が急流です。ですので、梅雨や台風が襲来する時期は、集中豪雨で降った雨が一気に急な川を流れます。

大雨が降ると水が急に増えて、土地の侵食や洪水などの水害を起こします。こうした水害を緩和する役割を果たしているのが、田んぼやため池、水路、木を植えた森林などと、よく言われますが、それはどのような役割なのでしょうか。

田んぼは「小さなダム」

前回の「「大切な水の流れ」を科学する 田んぼの不思議♪②」で述べましたが、田んぼには、一度取水口から水を入れ、排水口から流すという水の管理があります。例えば、川から100の水を入れ、30は土・空中・植物に流れ、残りの70は再び水路に流れます。
田んぼに一時的に溜まって対流し再び川に戻る水の流れは、川への急激な水の流れ込みを緩和し、周辺および下流域での洪水被害の軽減・防止に役立っています。水の流れを時間差(タイムラグ)で遅れさせる役割を持っています。
例えば、1反(1,000㎡、約0.1ha)の田んぼに20cmの水が溜まるとすると、200トン(ドラム缶2,000本分、25mプール1つ分)にもなります。

田んぼは、整備されると、約30cmの畦畔で補強され、理論上は約30cmの水が溜まる器になります。一方、整備されていない田んぼは、約10cm程度の畦畔で、理論上は約10cmしか水が溜まりません。さらに耕作放棄地の田んぼでは、ほとんど水が溜まりません。

整備された畦
整備されていない畦

山添村の田んぼの保水力

山添村の田んぼの面積は、264ha(2015年農業センサス)です。田んぼの整備率を仮に60%とすると、一時的に田んぼに溜められる水の量は、264ha×60%×300トン×10+264ha×40%×100トン×10=580,800トンになります。この量は、東京ドームの約半分になります。

また、奈良県の田んぼの面積は、15,500ha(2015年農業センサス)です。田んぼの整備率は約20%ですので、田んぼに一時的に溜められる水の量は、15,500ha×20%×300トン×10+15,500ha×80%×100トン×10=21,700千トンになります。この量は、上津ダムの4個分になります。

更に、日本の田んぼの面積は約240万ha(平成28年度)です。田んぼの整備率は約65%ですので、田んぼに一時的に溜められる水の量は、240万ha×65%×300トン×10+240万ha×35%×100トン×10=55億トンになります。これは現在、日本にある洪水調節ダム(300カ所以上)の約4倍の能力をもっていると言われています。

1枚の田んぼでは、「たかが1つの田んぼ」ではありますが、地域には主食のお米を作るために、まだまだ多くの田んぼがあります。お米を作るために、農家の方々が丹精込めて丁寧に管理をしている田んぼですので、この農家の方々の普段の管理の苦労に感謝して、この一時的に溜まる機能を上手く利用させてもらい多くの田んぼが機能すれば、かなりの洪水被害の軽減・防止に有効だと考えられます。

特に、豪雨が想定される、今の梅雨時期や台風時期の水害防止対策として、身近にある資源として注目されています。奈良県や全国各地で、意識的に田んぼに一時的に水を溜める取り組み、通称名で「田んぼダム」の取り組みも始まっています。

ただし、山添村などの棚田地形の田んぼでは、あまり水を溜めてしまうと逆に土砂崩れの危険もありますので、取り組みには注意が必要です。

日本の大河川の下流域には東京や大阪など多くの都市があります。もしも田んぼが少なくなったら、洪水による都市の被害が大きくなると危惧されます。都会の方々にも、お米の産地というだけではなく、安全な暮らしを支えてくれる「田んぼ」の機能を知ってもらいたいと思います。

田んぼ以外に、森林や畑、各地に巡っている水路、ため池、ダムなども水を蓄える役割もありますので、改めてそういう目で見てみるのもいかがでしょうか。

田んぼは「水不足を緩和する」

子供のころ、泥団子づくりなど土に水を混ぜてドロドロにして遊んだことはありませんか? 土に水を溜めると、徐々に無くなっていきますよね。この地表の水が徐々に土にしみ込んで地下水になることを涵養(かんよう)と言います。

田んぼは常に水を溜めているため、絶えず地下に水を浸透させ、地下水を涵養し続けています。その地下水は、やがて地表に湧き出て、川に流れ出てきます。そしてまた、田んぼなどに流れていきます。
地下水は、ゆっくり徐々に何日もかけて川に流れ出て、川の流れを安定させているのです。

田んぼは水不足を緩和する

山添村各地の河川や小川でも、雨が降った時は大水が流れますが、何日も晴天が続いたとしても、川の水が枯れることはありません。これは、涵養した地下水が徐々に流れ出ているからです。

この涵養は、森林や畑地でも機能がありますが、田んぼは常に水を溜めているため、地下水への涵養には最も効果がある、貢献していると言えます。
つまり、晴天が続くときでも、水の供給を安定させ、水不足を緩和する役割を持っています。

田んぼは「水をきれいにする」

田んぼに入った水は浄化されます。
田んぼに入った水は、ゆっくり田んぼの中を対流します。水と一緒に細かな土や草、葉っぱ、枝などのゴミも運ばれてきます。

これらのゴミは、田んぼの中を流れているうちに沈澱します。そして腐葉土となって稲作の肥料になります。この時、水に混ざったゴミは取り除かれます。

また、田んぼの土に浸透していくときに濾過(ろか)されます。土は細かな粒子からなっており、その隙間を水が流れます。そこを水が流れる間にも、小さなゴミや細菌が除去されます。その他に、水に溶けている塩類やイオンも土に吸着されます。これは、土の粒子はマイナス電荷をもっていて、これに重金属イオンなどが吸着して除去されるのです。
さらに、水に溶けている窒素=アンモニアや硝酸は、田んぼの土に浸透していくときに微生物によって窒素ガスに分解されて、空気中に放出されます。これを田んぼの脱窒作用(だっちつさよう)といいます。最近の農業は、化学肥料を使いますが、稲に吸収されず残留した窒素化合物がそのまま地下に浸透・汚染するのをこの作用で防ぐ役割を果たしています。

このように畦(あぜ)で囲まれた田んぼは、①沈殿、②浸透の濾過、③粒子の吸着、④土中の微生物の分解 などの様々な工程が行われる場所でもあり、この工程によって浄化され、きれいな水として下流に流れます。

田んぼに入る水、出る水の水質をこのような目で観察してみてはいかがでしょうか。

田んぼは、水をきれいにする

田んぼは「天然クーラー」

田んぼやその周りの里山は、涼しく、心地よく感じませんか?空気がきれい、景色がきれいなど、気持ちの問題もありますが、では、実際にどれだけ涼しいのでしょうか?
水は蒸発するとき、熱を発します。これを気化熱と呼んでいます。クーラーが涼しいのも、夏の地面に水を撒くと涼しくなるのも、この原理です。

前回の 「「大切な水の流れ」を科学する 田んぼの不思議♪②」 で述べましたが、田んぼの水は、水面から蒸発、稲から蒸散、土へ浸透しています。ですので、田んぼも水の蒸発や蒸散により周囲を冷やしていることになります。
木陰が涼しいのも日陰であることに加えて、葉からの蒸散があるからです。同様に、稲もこの蒸散作用により周囲を涼しくしています。

田んぼは、クーラーの役目も。

田んぼは、具体的にどれくらい涼しくしているのでしょうか。
農業総合研究所の実験によれば、田んぼの気温低下の効果は、周囲と比べ-1.3℃と言われています。

実際のところ、日の照り具合や風、標高、影などその他の条件でかなり異なると思いますが、周囲の気候を-1.3℃も下げるのはすごいことだと思います。
これにより、熱帯雨林に近いといわれる暑い日本の夏も、過ごしやすくなっているのですが・・・、でも、近年は暑いですね。
水を溜めた田んぼは、この蒸発と蒸散のダブル効果で、畑や林よりもクーラー効果が高くなっています。ヒートアイランド化しやすい都会に対して、農村は天然クーラーとなっています。

山添村でも、田んぼの周りで、ホタルや虫の音、カエルの音、満天の星々を見ながら涼むという贅沢な時間が過ごせると考えると、どうでしょう?  (蚊に注意ですが・・・)
田んぼのある暮らしって、何とも贅沢に過ごすことができるでしょう!

さて、次回は、「 「お米ができるまで」 田んぼの不思議♪④」をお届けします。

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この記事を書いた人

こせがれのアバター こせがれ 兼業農家のご主人

山添生まれ、山添育ち。農村の暮らしを通して、食や農、自然や地形、歴史や文化、スポーツや子育て、健康や長寿‥などなど、様々なことに関心が芽生えて来た、小せがれです。
「足元より、少し前を向いて歩きたい♪ どうせ一度の人生だから」をモットーに実践しているつもりです。
これからもよろしくお願いしますm(._.)m

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