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やんばいのぉ山添村
ええ天気やなぁ山添村
『やんばいのぉ』とは、山添弁で『いい天気だね』という意味です。
『やんばいのぉ山添村』は、関西弁では『ええ天気やなぁ山添村』になります!
『やまぞえ絆リレー2020』2021年5月9日に延期となりました。

【「大切な水の流れ」を科学する】 ♪田んぼの不思議♪②

目次

◎ 水に田と書いて「水田」、水に稲と書いて「水稲」

田んぼは、「水田」、稲は「水稲」と書くように、田んぼで育てる稲作には、水は不可欠です。

そのように大切な水ですが、
田んぼの周りではどのような水の流れになっているのでしょうか?
そしてどれくらいの水が必要なのでしょうか?

今回は、こんなお話をします。

田んぼに入る水(取水口)と出る水(排水口)

水が欠かせない田んぼ。
その田んぼには、水を入れる場所と出る場所があります。家で例えると、玄関口と勝手口があると言ったイメージです。

田んぼへの入り口(玄関口)は、「取水口」と言います。川から水路を通って、田んぼの上流(切土)部分=(「しりげ」:地域の方言で、山手側を「しりげ」と呼んでいます)に入り口を作って水を入れます。通常、パイプの口を開け閉めできる栓や、ゲートなどが整備されています。取水栓、分水栓、取水ゲート、取水扉などと呼ばれています。この栓や扉で田んぼに入れる水の量を調整します。言わば、玄関口の扉を開け閉めするイメージです。

取水口の一例

田んぼからの出口(勝手口)は、「排水口」と言います。田んぼから不要な水を水路に流すための出口で、田んぼの下流(盛土)部分=(「まえげ」:地域の方言で、盛土側を「まえげ」と呼んでいます)に出口を作って水を出します。整備された田んぼでは、排水路に流すことが通常ですが、棚田では水の有効利用から下流の次の田んぼに直接流し入れることもあります。U字型の桝に板を差し込んで水位を調整できる一筆排水桝と呼ばれる桝が整備されています。言わば、勝手口の扉を開け閉めして、水の排出を調整するイメージです。

排水口の一例

田んぼの水はどこへ行く?

それでは、田んぼに出入りする水は、どこへ行くのでしょうか?

田んぼには、取水口での取水量、排水口での排水量を調整できますが、田んぼに入った水全部がそのまま排水されるものではありません。
田んぼに入った水は、排水口から出る以外に、主に次の3つのところに流れていきます。

空中に!土中に!植物内に! 再び水路に!

 ①土(土壌)の中に染み込む
 ②水面から空気中に蒸発する
 ③稲の中に吸収されて葉っぱ等から発散する
土の状態や植物の状態にもよりますが、田んぼの場合、大体①~③は三分の一づつと言われています。

田んぼに入った水の行方(排水口から出ていく水は除く)

例えですが、取水口から田んぼに100入った水は、10が土に、10が水面から空中に、10が稲に吸収されて発散、差し引きの70が排水口から出るといった具合です。
つまり、水は、土に、空中に、植物に、吸収されるとともに、そのまま田んぼの中を巡廻して流れ出るいわばかけ流しの状態になります。
このように、田んぼを介して、水の循環が生じているのです。

一日に約1.5㎝(15㎜)の雨が必要!

このように田んぼでは、水の循環が生じていますが、それでは、どれくらいの水の量なのでしょうか?

1枚の田んぼで稲を栽培する間に必要な水の量は、土壌や地域性によって異なりますが、標準的には次の通りです。

田んぼの水は、①地下浸透、②蒸発、③植物発散、④かけ流し、に分かれます。
①地下浸透、②蒸発、③植物発散は、合計して一日に約15㎜必要と言われています。大まかには、各5㎜づつになる計算になります。その他、④かけ流しは、水の出し入れの仕方によりますが、土・空中・植物への吸収が3割、かけ流しが7割と言われていますので、一日に35㎜になります。

つまり、稲を栽培している間(約120日間)は、1枚の田んぼで、一日に50㎜の水が動いています。
④のかけ流し分を除くと、1日に15㎜の水が必要です。つまり、雨でいうと、毎日15㎜の降雨が必要になります。

この水の流れは、稲を栽培している期間のことで、田植えまでの田起こし、代掻きの約1週間は少し様子が異なります。地下(土)への浸透が大きく、①~③の数字は、一日約150㎜と10倍程度必要と言われます。この大量の水を解決するために、田植えの前には、代掻きで田んぼの土をドロドロにして、地下(土)への浸透水を少なく、水が溜まるようにします。そうすることにより、田植えの時には、15㎜/日の水で済むように、田んぼと言う「器」に生まれ変わります。
この①~③の土・空中・植物への水の流れによる必要水量を、「減水深」と呼んでいます。

まとめますと、
(1)田起こし・代掻き期間(約7日間)は、減水深=150㎜/日
(2)稲の栽培期間(約120日間)は、減水深=15㎜/日
になります。
なお、途中に行う中干し期間(約7日間)は考慮していません。

田起こしの風景
代掻きの風景

このように考えると、水を貯める場所が仮になければ、代掻き期間には、約150㎜/日、稲の栽培期間には、約15㎜/日の量の雨が毎日必要になります。
やっぱり、水田、水稲と言うだけあって、田んぼ(稲栽培)には水が命ですね。

山添村の平均降水量は4㎜/日しかない!

ちなみに、山添村の年間降水量が1,500㎜、平均降水量は4㎜/日です。
単純に考えると、田んぼで稲を育てるのに15㎜/日が必要と言われるのに、4㎜/日では、三分の一にも満たさず、不足してしまいます。

それでは、これらの水はどうして確保しているのでしょうか?

田植え前の水を湛えた田んぼ
田植え前に、溢れるほど水を湛えた田んぼ(2020年のゴールデンウィーク)

◎ 「スポンジ」のような森や水たまりから、水路は地球を10周!まるで毛細血管!

これらの必要な水は、雨の際に森林やその土に蓄えられ、少しづつ湧き水として流れ出てきます。
稲作が始まった最初のころ人々は、雨水(天水)や森から流れる川の水を堰き止めて使ってきましたが、お米という便利な食料を田んぼで人工的に作れることを知った人々は、不足する水を確保するために、更に創意工夫を始めました。

具体的には、
①水をできるだけ蓄えられるように、森林をこまめに手入れすること
②水を溜める池=ため池を作ること(ちなみに近代的なため池はダムのこと)
③遠いところから水を流してくるために水路を整備すること
などです。

その中でも水路は、田んぼへの水の取水・排水のために一番大切なもの、いわば部品です。
水路は田んぼの周りのいたる所に巡らされ、まるで毛細血管のようです。ちなみに日本全体で田んぼの水路は、40万kmにも及ぶと言われ、その長さは、地球10周にも及ぶそうです。

水路の一例

「水はどこから?どこへ?」という観点で、田んぼの水の流れを観察してみると、先人の水を確保する努力や創意工夫の思いが重ね見ることができるかもしれませんね。

さて、次回は、「 【田んぼ”が”水を管理する】 田んぼの不思議♪③」をお届けします。

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この記事を書いた人

こせがれのアバター こせがれ 兼業農家のご主人

山添生まれ、山添育ち。農村の暮らしを通して、食や農、自然や地形、歴史や文化、スポーツや子育て、健康や長寿‥などなど、様々なことに関心が芽生えて来た、小せがれです。
「足元より、少し前を向いて歩きたい♪ どうせ一度の人生だから」をモットーに実践しているつもりです。
これからもよろしくお願いしますm(._.)m

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